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  夜明けはまだであった。このスタディツアーも半ばを過ぎ、そろそろおみやげを考えておかねばならない。幸い、今日は午前中はショッピング、午後にN・Y市内観光を予定しているので、ショッピングリストを書いて頭の中を整理しておいた。机に座ったついでにヒューストンで買い求めた絵葉書に日本の友人、知人にたよりを書きはじめたが、勢いがついてヒルトンホテルの絵葉書まで使ってしまって、合計7通になった。
  朝のニュース、モーニングショーは"Election Day(大統領選挙)"のことばかりである。レーガンのポスターに泥をなげつけるシーンも見受けられたが、予想ではレーガン有利という見方が強いようである。窓を開けてみると、月曜日の朝の音が入ってくる。ニューヨークヒルトンでは部屋が6階であった。向かいのビル、隣りのビルの音が反射して雑踏が飛び込んでくる。とくに車のクラクションが耳ざわりである。朝7時30分であるが、向かいのビルには、もう出勤しているビジネスマンがいる。1室専用の部屋を持っているのでマネージャークラスであろうか。部屋に入り、コートを脱ぎ、白い紙袋からハンバーガーを出して、書類に目を通しながらの朝食である。実に味気ないN・Yの朝がはじまるのである。マンハッタンは『岩の上に立つ石の墓場の街』といった作家がいた。『利用される限り利用され尽し、もはや改造も再生も不可能の街』。全く人間らしさは感じられない。背の高いビルディングに囲まれ、圧迫感さえ感じられる。何かが抜けていそうで何かに偏った街、N・Yである。
  9時30分、ロビー集合であったが、その前にワイシャツ3着のクリーニングとズボンのプレスを頼んでみた。電話の向こうは男性の声ではっきりしゃべってくれたのでよく理解できた。集合時間よりちょっと早めに下へ降り、切手を買いハガキに貼りつけて投函した。切手はロス・オリンピックの記念切手で、日本まで28セントを要した。

おいしいカリフォルニア米

  今日は福井氏は別行動、橋本氏と一瀬氏と私の3人で行動を共にすることになっている。とにかく、外へ出てどのコースでショッピングをするか、食事をしながら決めることにした。
  私達3人は、マンハッタンのメインストリート、五番街を歩いて行った。そんなに道幅は広くない。御堂筋の側道1つ分をなくしたくらいの広さである。3人の合意で必ず立ち寄らねばならない店は、ネクタイとおもちゃ屋であるが、まずタイ・ショップを探すことにした。はじめ百貨店に入ったが、ネクタイ売場が小さく、厚かましく、有名なタイ・ショップはどこかと聞いてみると、マジソン街にあると言う。早速、行ってみることにした。
  "Brooks Brothers"という店は、日本の昔の銀行のような石造りの建物で天井も高く、カウンターの中は女性ではなく男性が応対していた。声を出せば「ワァーン」と響くようなたたずまいであった。私は好みのネクタイを3本選び買い求めた。
  相変わらず人は信号を守らず"Don'tWalk"でも平気で通りを横切る。自分自身にのみ責任を持てばいいんだという考えだろうか。通りすがりの2、3人の話し声が聞こえた。・・・・明らかに英語ではない。顔つきと言葉からイタリア系であろうか。もとの五番街へ戻ってみると、近くに高島屋のN・Y支店があるので寄ってみることにした。日本のイメージとは異なり、2階のみでわずか100平方メートル足らずの店舗であった。しかし、相手が日本人なので買いやすく、化粧品などのみやげものを買って外へ出た。