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鉄管、鋳鋼などの倉庫はステンレスの比ではなく、鉄パイプの倉庫は野球が十分にでき、突き合わせ溶接などの継手や鋳鋼・鍛鋼のバルブなどの倉庫は、ゴルフのロングホールがとれるほどの広さであった。
  この卸商は工業回り専門で、大手ではあの石油のエクソン社へ納めていりという。エクソン社への別注品・別製品は他の商品と隔離されていて、錠まで備えられていた。一瀬氏と私はやはりバルブに興味があり、その特別倉庫では手に取って細部に至るまで観察していた。

スクラップ寸前のバルブ

  スクラップ寸前のバルブだけでも300〜400台はあった。仕入れ担当重役のドビン氏も最近は若い人達に仕入れや在庫管理を任せているという。まだ再生できるバルブをもスクラップダウンをしてしまうので、時々当惑することがあるという。実際、倉庫の一画にはサビを落とす装置があり、化粧をし、商品化してから納品すると言われる。ドビン氏に「まるで娘の嫁入りのようですね」と言うと微笑んでいらっしゃった。日立金属の鋳鋼のバルブも在庫されており、私達もハヤシ氏と倉庫を回っていて鼻が高かった。ドビン氏もハヤシ氏のことは"Nice Guy"であると言われていた。

  オフィスに戻ると、エクソン社から注文が入っていた。コンピュータがオンラインで直結されていて、プリンターに注文書が印字される仕組みになっている。エクソン社のウエイトはかなり高いようで、私達が通されて説明を受けた部屋は、エクソン社専用であった。
  このオフィスでも同様、タバコを喫う人は見回したところ1人であった。アメリカの社会は、スモーカーを締め出しにかかっているのだろうか。日本では、有名な外人タレント*がいかにも旨そうにタバコを喫うテレビのCMがあるが、こちらのテレビを見る限りそんな宣伝はないし、街でタバコ屋や自動販売機はあまり見当たらない。アメリカに来てから禁煙を心掛けている私だが、実に気分が壮快である。
  約2時間、ゆっくりと倉庫とオフィスを見せていただいた。大統領選挙の日で時間的に余裕があったのか、すっかりドビン氏の好意に甘えてしまった。
* 米の男優ジェームス・コバーン


ニュージャージーの日立金属


  私達の車は、さらにマンハッタンより遠ざかった。ニューアーク空港へ着陸する飛行機が正面の大空に見える。1機がハッキリ確認できるようになると、また1機の尾灯が遠くに見えてくる。N・Yには民間用の飛行場が3つある。私達が着いたラガーディア空港、ケネディ空港、それとこのニューアーク空港である。そのほか軍事用としてまだ2つあるといわれる。さずが世界の中心、ニューヨークである。
  ニュージャージーの日立金属は、プレーンフィールドの近くにあった。N・Yから南西50キロメートルほどのところである。夕日のせいか、オレンジ色の倉庫がより鮮やかに目に写った。オフィスの中へ入ると、男性1人、女性2人がいて、ハヤシ氏に英語であいさつした。女性は見るからにアメリカ人と解かったが、男性は日本人かどうか判断に迷った。でも、すぐにそれと解かった。名刺を交換して、その人、オカモト氏に倉庫を見せてもらうことになった。