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ベッドサイドにはナショナルのAM・FMの目覚し付ラジオが置いてあった。バスルームのバスタブ類はクレイン社のもので、洗面所に立つと、正面の鏡に自分の後ろ姿がちょうど写るように工夫されていた。ホテルの部屋の設備としては、近代的でゆったりとしていて私の最も気にいったホテルであった。


文字通り”カントリークラブ”

  次の日の朝、キム氏の車でカントリークラブへ向かった。テキサス州は日本の面積の2倍弱で、周りを見渡しても山は見えず、州の端から端までは陸送で2、3日かかる。国土の広いことが、商売をむずかしく、またやさしくしていると思われた。
  車は一直線のハイウェイを走る。日本製のトラックも走っている。アメリカでは、トラックの荷台のうしろの面に自動車メーカーの字が大きく型出しされている。たとえば、NISSAN、TOYOTA、FORD、CHEVROLETなど。
  キム氏と一瀬氏は、テキサスでの家の価格について話している。価格は理解できても、広さがエイカーであるためピンとこない。これから行くカントリークラブ"SWEET WATER"というところは、最近高級住宅地として注目されるところだとキム氏は言われる。スウィートウォーター(甘い水)という名は、アメリカの豊かな平原(グレートプレーンズ)には多いようだ。

  かつて西へ西へと進んだフォーティーナイナーズの間では、「水とすばらしい牧草地」のことをスウィートウォーター、ソーダスプリング(ソーダ水の泉)、ベアロック(熊の岩)などと名づけられている。
  スウィートウォータ・カントリークラブは、高級住宅地の中にあった。建築中の家もあり、買うために土地を見に来ている人達も見かけた。今年からLPGAの公認コースになり、全米ツアーにも組まれているそうである。やはり日本の国土の25倍もあるアメリカのゴルフ場はゆったりしていたが、コースはトリッキーなホールもあり、フラットな広いフェアウェイもあって、距離などはそんなに日本と変わらなかった。ただ、コースに沿って住宅が並び、あるホールなどは家に向かってショットするところもあった。日本では網のフェンスがしてあるが、ここは全くのフリーで、私の打ったボールがOBで家の方へころがっていったときには驚いてしまった。
  コースはすいていて、キム氏と一瀬氏、福井氏と私というペアーでカートに乗ってゴルフを楽しんだ。最初の9ホールをプレーして小休憩、売店で缶ビールを買い後半のプレーを開始。前半、電気自動車に乗ってはしゃぎ過ぎたのか、大たたきしてしまったので気合いを入れ直してゴルフに臨んだ。テキサス州の海岸に近いこのあたりは、かつて湿地帯で沼地が多かったようで、コースの至るところにクリークや池があり、プレーすればするほど愛着の湧いてくるコースだと思った。
  スコアの方は、キム氏が49・50のベスグロ、一瀬氏が48・59と後半くずれ、福井氏が51・50の小波、そして私は67・48の大波という結果であった。私としては、キム氏はともかく、一瀬氏、福井氏の強豪を相手に後半の9ホールを48でまとめられたのは大満足であった。
  プレーのあと、食堂で軽い食事をとりながら、キム氏らとゴルフのことを話していた。